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近年,我が国では豪雨や地震が頻発しており,洪水や土砂崩れ,津波などの様々な現象が複合して,自然災害による広域的な被害が発生する傾向にあります。
自然災害が発生すると,人命への被害や土木施設・建物などへの物的被害の発生にとどまらず,断水,停電,交通寸断といった生産基盤への影響により,農林水産業などへの経済的な被害が生じます。
北海道でも,平成28年8月北海道豪雨や平成30年北海道胆振東部地震により,広域的に様々な被害が連鎖して発生する広域複合災害が発生しました。北海道では過疎化の進行による災害対応力の低下が懸念されますが,北海道は日本の食料生産基地であり,災害に対する脆弱性は日本の社会経済にも大きな影響を及ぼします。
このような状況を踏まえて,減災に資する教育や研究を行うため,北海道大学は平成31年4月1日に「広域複合災害研究センター(CNHR)」を設置しました。
当センターでは,近年増加しつつある自然災害に対して,現象論的な研究に偏ることなく,地域の特性や人間活動を踏まえた上で,自然災害の被害予測や減災の研究を行い,その成果を活用して大学院生や官公庁の職員,民間企業の技術者等に対してリカレント教育を実施するとともに,行政機関の防災施策の支援や地域活動への協力といった社会連携活動を通して,地域社会において減災に貢献できるリーダーの育成を目指します。
当センターは,第一期(平成31年度~令和5年度)は主に寄附金により運営されてきましたが,第二期となる令和6年度からは文部科学省プロジェクト研究経費と寄附金のハイブリッドで運営されています。第二期からは、社会連携やリカレント教育をよりいっそう強化し,新たな学問分野『広域複合災害減災学』の創出に向けて活動しています。